ドキュメンタリー「父&母」 第1回 文:広子

2000年4月7日、今までの生活が180度変わる大事件が……

前日、春休み明け1日目にして息子が学校で転倒、左鎖骨骨折で入院。
一晩付き添いをして、昼、入院に必要な物を取りに家へ戻っていました。
携帯が鳴り、見ると主人から。胸騒ぎがしました。
出ると、一緒に仕事をしている友人の声。

「今、……ケガをして…救急車を…」

と、とぎれとぎれにしか話せないでいる声に、やっぱり

「わかった。病院で待ってるから!」

わが街には、大きい病院は1つしかなく、そこに息子も入院していて、
わが家からは車で5分。主人がケガをした所からは、15分の所で、
とにかく私の姉に連絡して、車を走らせました。

ただただ、この病院ですんでくれるようなケガであることを願いつつ、
駆けつけた姉と救急車が来るのを待っていました。
願いもむなしく、主人のケガはかなりの重傷。
となりのK市のR病院へ搬送となりました。
整形外科のM先生に「命にかかわります。」と言われ「ああ、やっぱり…」
病院内の空気がただ事ではなかったのです。

10mの高さよりの転落。普通なら、その場で命を落としてもおかしくない高さです。
内臓を損傷していると、かなりキケンな状態との説明に、
泣いてはいけない、しっかり話を聞かなきゃ、ちゃんと立っていなければと……

手に持っていたカバンひとつで救急車に乗り、
普通に車で行くと、2時間30分のK市まで乗り物酔いと、
前日の病院での付き添い疲れと、突然のパニックと
何度も気が遠くなるのを、必死でこらえてました。

今思うと、救急車の方達も事情を知っていただけに、
かなり急いで1時間20分ほどでR病院へ着きました。

病院へ入り「あぁ、これで助かる・・・・・・・・」と思ったとたん、
足の力がぬけ、立っていることができなくなり
看護婦さんに待合室のイスの上に横にしてもらい、
ふと見ると主人が、

「何具合悪くなってんだバーーーカ!」

と、言わんばかりにストレッチャーの上から私を見ているんです。

「この人はちょっとやそっとじゃ死なない」

みょうな安心が心に広がって行くのを感じました。